円やドルのような法定通貨と同じように、仮想通貨でもFX取引を行うことができます。FXとは、「Foreign Exchange」の略語で、日本語では「外国為替証拠金取引」といいます。
FX(証拠金取引)では、証拠金を預けて、その数倍から数十倍の資金を運用できる「レバレッジ取引」を行うことができることが最大の特徴です。
仮想通貨FXなら、レバレッジを効かせて少額の資金でも大きな額の仮想通貨をトレードすることができます。仮想通貨FXの特徴と、おすすめの取引所について解説します。
目次
【確認】仮想通貨FXとは何か?現物取引との違いを解説
取引形態 | 通貨の売買 | 売買注文 | レバレッジ取引 |
仮想通貨FX | 実際には行われない (差金決済) |
売り注文からでも取引可能 | 可能 |
現物取引 | 実際に行われる | 仮想通貨を保有しない場合 売り注文は不可能 |
不可能 |
FX(証拠金取引)に対して、FXでない通常の取引を「現物取引」と呼んでいます。
仮想通貨の現物取引と仮想通貨FXについて、具体的にどのような違いがあるのか、まずはその点を一通り確認して行きましょう。
仮想通貨FXは差金決済
仮想通貨の通常取引(現物取引)では、仮想通貨を取引する場合、当然ですが、実際に仮想通貨を購入したり売却したりしています。
一方、仮想通貨FXの場合は、現実に仮想通貨を売買するのではなく、購入したり売却したと仮定して、その差額だけ資金のやり取りをします。
例えば、仮想通貨FXで、1BTC=100万円の時に買い注文を入れ、1BTC=120万円の時に売り注文を入れたとします。この場合、FX取引上での売買注文の段階ではビットコインが実際に購入されることはありません。
売り注文が成立し、一連の取引の損益が確定した段階で、最終的に差額の20万円分のビットコインのみが購入処理され自分のウォレットに入ります。
この仕組みを、差金決済とか差金取引と呼びます。現物取引と区別しているわけです。
仮想通貨FXは売り注文からでも取引開始できる
仮想通貨の現物取引の場合、何も無い状態から売り注文を入れることはできません。当然ですが、最初にまず買い注文を入れて、一定額の仮想通貨を購入する必要があります。
仮想通貨FXは差金決済、つまり仮定の取引なので、売り注文からでも取引を開始することができます。
例えば、仮想通貨FXで、1BTC=100万円の時に売り注文を入れ、1BTC=80万円の時に買い注文を入れたとします。
これは、1BTCを100万円で売る注文を先に確定させて、あとから1BTC=80万円で買い調達することができたという意味になり、差額の20万円が取引益となります。
仮想通貨FXは、売り注文からでも取引を行うことができるため、相場が下げ基調でも取引益を生み出すことが可能です。
仮想通貨FXはレバレッジをかけることができる

レバレッジ(leverage)とは日本語で「梃(てこ)」という意味です。梃(てこ)を使うと、実際の力よりも大きな力を働かせることができますが、レバレッジ取引にも同じ原理が作用します。
レバレッジ取引とは、実際に持っている資金を証拠金として預け入れ、その何倍もの資金の運用を可能とする取引です。
例えば、手元資金が100万円の場合に、1000万円を運用したい場合は、10倍のレバレッジをかけることになります。この状態を「レバレッジ10倍」と呼びます。
レバレッジが何倍まで可能かは、金融当局の規制を受けるため、国内外の取引所によって異なります。日本国内の取引所では最大25倍です。海外の取引所では100倍規模の取引所も存在します。
追証とロスカットには要注意
レバレッジ取引は良いことばかりではありません。取引を通じて得られる利益も大きくなる一方で、失敗した場合の損失もまた大きくなるためです。
FX(証拠金取引)は、仮定の取引を前提とした差金取引ですが、どこまでも損失が拡大して行くことを防止する仕組みが備わっています。
その仕組みをが、追証(おいしょう)とロスカットです。
追加保証金(追証)とは
FX取引している金額に対して、証拠金の残高の割合のことを証拠金維持率と呼び、損失により証拠金が一定の割合を下回った時点で、取引所から追加の証拠金、「追加保証金」を要求されます。
追加保証金は略して追証(おいしょう)と呼ばれます。追証を求める警告のことを、「マージンコール」と呼びます。
マージンコールが入る水準は取引所によって違いますが、外為FXなどでは証拠金維持率50%で発動する取引所が多いです。
マージンコールが入ると、追証を入れて証拠金維持率を引き上げるか、それとも後述するロスカットとするか、選択を迫られることになります。
ロスカットとは
追証(おいしょう)を入れて証拠金維持率を回復すれば取引を継続できますが、証拠金維持率を割り込み続ければ、強制的に取引を終了させることになります。これがロスカットです。
例えば、証拠金が100万円で、1BTC=100万円のレートで、10倍のレバレッジで10BTC(1000万円分)の買い注文を入れたとします。
その後レートが少し下がって1BTC=95万円になると、10BTCが950万円の価値になり、50万円の含み損が生まれます。
100万円の証拠金から50万円の含み損を差し引いて、50万円が証拠金残高という扱いになり、証拠金維持率は50万円/100万円で50%ということになります。
外為FXなどで多く採用されているロスカット水準50%とは、証拠金維持率が50%を割り込むとロスカットが入り取引を強制終了とするという意味です。
上記取引の場合でロスカット水準50%が採用されているとすると、この後に少しでもレートが下がってしまうと、ロスカットで取引終了となってしまいます。
仮想通貨FXに適した取引所を選ぶ4つの基準

仮想通貨FXに適した取引所を選ぶには、FXならではのメリットを最大限活かせるかどうかがポイントになってきます。
仮想通貨取引ならではの特徴もありますので、順に見て行きましょう。
仮想通貨FXにも取引所と販売所がある
仮想通貨の現物取引に、取引所での購入と、販売所での購入があるのと同じように、仮想通貨FXの調達先も取引所と販売所があります。
仮想通貨の現物取引同様、販売所での購入には一定のスプレッドがかかって割高になってしまいますので、取引所で仮想通貨を調達することが望ましいです。
仮想通貨FXのレバレッジ倍率上限
日本国内の取引所では、金融庁によりFX取引におけるレバレッジの上限規制が敷かれています。2018年6月時点での上限は25倍です。
最大上限の25倍まで活用できる取引所の方が自由度が高いことになりますが、レバレッジを高くするとそれだけリスクも高くなることには注意しましょう。
仮想通貨FX取引ができる通貨の種類
現物取引ができる仮想通貨の種類が取引所によって異なるように、仮想通貨FXが取り引きできる通貨の種類も取引所ごとに異なります。
当然、仮想通貨FX取引ができる通貨の種類が多い方が望ましいと言えます。
ただし、仮想通貨全体の価格動向はビットコイン(BTC)比例になることが多く見られます。
仮想通貨FXをこれから始めるという場合には、ビットコインが取り引きできれば、ひとまずはOKという考え方もあり得ます。
追証とロスカットポイントの確認
仮想通貨FXを行おうと考える場合には、追証とロスカットが入るポイントを確認しておくことは非常に重要です。
仮想通貨の現物取引の場合は、手持ち資金が最悪ゼロになったとしてもそれ以上の赤字を発生させることはありませんが、仮想通貨FXの場合には手持ち資金を超える水準の赤字が発生するリスクがあります。
追証が求められるマージンコールが入る証拠金維持率と、ロスカットポイントは必ず確認するようにしましょう。
仮想通貨FXにおすすめの取引所を比較表で確認
取引所名 | レバレッジ倍率 | 追証・ロスカット | 取扱通貨 |
BitMEX | 最大100倍 | 追証無し ロスカット0% |
BTC/ETH/XRP/LTE/BCH/ETC |
GMOコイン | 最大25倍 | 追証なし ロスカット75~85% |
BTC |
Bitbank Trade | 最大20倍 | 追証なし ロスカット20% |
BTC |
bitFlyer | 最大15倍 | 追証80% ロスカット50% |
BTC |
DMM Bitcoin | 最大5倍 | 追証なし ロスカット80% |
BTC/ETH/XRP/LTE/BCH/ETC/NEM |
仮想通貨FXに適した取引所としては、レバレッジ倍率ができるだけ高く、追証・ロスカット水準ができるだけ低い方が、取引の自由度は高くなります。
この点に加えて、取扱通貨の種類を考慮して比較表を作成しています。
仮想通貨FXにおすすめの取引所3選
仮想通貨FXにおすすめの取引所を3つ選出しました。
トレードの自由度を確保するという意味で、レバレッジ倍率と追証・ロスカットの水準について最重要視しています。
1位:BitMEX(ビットメックス)

取引所名 | BitMex(ビットメックス) |
レバレッジ倍率 | ★★★★★ |
追証・ロスカット | ★★★★★ |
取扱通貨 | ★★★★★ |
BitMEX(ビットメックス)は、香港に拠点を置く海外取引所で、仮想通貨FXに強みを持っています。日本語対応もされていて操作上の不安もありません。
レバレッジは最大100倍まで可能、追証なし・ロスカット0%と、取引の自由度が非常に高いことが特徴です。
ハイレバレッジですが、追証無しのゼロカットシステムを採用しているので、相場の急変時にも手元資金を失うだけで、それ以上の損失を被るリスクはありません。
BitMEX(ビットメックス)は、仮想通貨FXに取り組むなら、口座開設が必須の取引所と言えるでしょう。
2位:Bitbank Trade

取引所名 | Bitbank Trade |
レバレッジ倍率 | ★★★☆☆ |
追証・ロスカット | ★★★★☆ |
取扱通貨 | ★★☆☆☆ |
Bitbank Trade(ビットバンク・トレード)は、日本の仮想通貨取引所「Bitbank(ビットバンク)」の仮想通貨FX専用の取引所です。
レバレッジ倍率は20倍ですが、追証なしでロスカット率も20%です。損失が発生したとしても、証拠金の20%以上が維持できればロスカットは入りません。
日本国内の仮想通貨FXの取引所で、レバレッジ倍率20倍、追証無し、ロスカット率20%は、非常にバランスが取れたサービス内容です。
取扱通貨はビットコインだけですが、仮想通貨FXを考えた場合には、取り扱い銘柄の少なさは、現物の取引所ほどのデメリットにはなり難いとも考えられます。
いきなり海外取引所のBitMEX(ビットメックス)で取引を開始するのは躊躇してしまうという人には、まずはBitbank Trade(ビットバンク・トレード)をおすすめします。
3位:GMOコイン

取引所名 | GMOコイン |
レバレッジ倍率 | ★★★★☆ |
追証・ロスカット | ★★★★☆ |
取扱通貨 | ★★☆☆☆ |
GMOコインは、日本の大手インターネット企業、GMOグループが運営する仮想通貨取引所です。国内の取引所のなかでも、仮想通貨FXに向けたサービス内容となっています。
レバレッジ倍率は国内規制の上限いっぱいの25倍まで可能、追証制度はありません。ロスカット率に到達すると、自動的にロスカットが入り強制終了となります。
ロスカットポイントは、レバレッジ5倍で証拠金の75%、同15倍で80%、同25倍で85%、この水準を下回るとロスカット発動となります。
日本国内で仮想通貨FXを扱う取引所で、レバレッジを規制上限までかけて取引したいという人には、GMOコインはおすすめです。
仮想通貨FXの3つのメリット

仮想通貨FXの特徴を見てきましたが、仮想通貨FXのメリットについて振り返ってみましょう。
仮想通貨FXには、トレード利益という点では非常に大きな可能性があります。
仮想通貨FXは24時間365日トレードが可能
従来の法定通貨の外為FXは、各国市場のオープンしている時間にトレード時間が制限されますが、仮想通貨FXの場合はその制限がありません。
24時間365日トレードが可能なことは、自分が空いている時間を利用していつでもトレードに取り組めるというメリットにつながります。
仮想通貨FXは限られた情報量でも運用可能
法定通貨のFX取引の場合、為替レートを左右する要素は膨大です。政治経済から、オリンピックやワールドカップなどのスポーツイベントまで多岐に渡ります。
それらの情報すべてを網羅するのはかなり困難が伴う作業であり、既存の外為FX取引のハードルを上げている要素となっています。
仮想通貨FXの場合、カバーすべき情報は法定通貨のFX取引よりも少なくて済むので、初心者にも取り組み易いFX取引と言えます。
仮想通貨FXはトレード益への期待が大きい
仮想通貨は、一般にボラティリティと言われる相場の変動幅が、法定通貨よりも大きく現れる傾向があります。
仮に今日1ドル=110円だとして、明日1ドル=108円に下落するのは相当な経済状況の変動が起こった場合に限られます。その一方で、今日1BTC=100万円だったところ、明日1BTC=90万円に変動しているというのはごく普通に生じています。
高倍率のレバレッジをかけて取引できる仮想通貨FXは、トレード利益も非常に大きくなる可能性があります。
仮想通貨FXの3つのデメリット

仮想通貨FXにはもちろんデメリットもあります。デメリットの多くは、メリットと表裏一体のものですので、それだけを捉えて悲観的になる必要はありません。
ただし実際に仮想通貨FXを始めるなら、デメリットは必ず認識しておきましょう。
仮想通貨FXは損失も大きな額になり得る
仮想通貨はボラティリティが大きい分、利益も大きくなる可能性がある反面、損失も巨額となる危険性があります。
仮想通貨FXに取り組むなら、自分なりの損切りのルールをしっかりと定めることが重要です。
仮想通貨の値動きには予測不可能な部分もある
仮想通貨の歴史は10年にも満たないもので、まだまだマーケット関係者の経験値も蓄積が不十分なところがあります。
ちょっとした情報が相場に大きな影響を与えることもあり、仮想通貨の値動きには予測不可能な部分もあることは認識しておくと良いです。
仮想通貨FXは余剰資金で行った方が良い
仮想通貨FXを高いレバレッジをかけて行うと、相場の動向次第で、運用資金が一瞬で無くなる場合もあり得ます。
仮想通貨FXは、仮に無くなってしまったとしても日常生活の継続には支障が出ない、余剰資金で行った方が良いでしょう。
まとめ

- 円やドルのような法定通貨と同じように、仮想通貨でもFX取引を行うことができます。
- FX取引では、証拠金の数倍から数十倍の資金を運用できる「レバレッジ取引」が可能です。
- 仮想通貨FXは、現実に仮想通貨を売買するのではなく、仮定の売買に基づく差金取引です。
- 仮想通貨FXは、メリットとデメリットの双方が、法定通貨よりも強く現れる傾向があります。
- 仮想通貨FXの取引所を選ぶポイントは、レバレッジ倍率と追証の有無、ロスカット率です。
仮想通貨FXは、手元の資金が少額でも上手くトレードすれば大きな利益を上げることも可能なため、注目を集めています。
新しく開設される仮想通貨取引所のなかには、仮想通貨FXの取り組み易さを重視したところも登場してきています。
仮想通貨FXには、レバレッジが効いて利益が大きくなる可能性もある反面、損失も大きくなりやすい点には注意しましょう。
追証やロスカットポイントについて注意しながら、仮想通貨FXに取り組みましょう。